稚拙な文章を書き連ねます。 ただただ其れはもう無駄に。
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聖ウァレンティーヌ
2006-02-14-Tue  CATEGORY: オリジナル
板チョコを湯煎する。
火に掛けられたお湯で溶けていく板チョコ。
この温まって溶けかけたチョコが美味しいのよねぇと、そんなことを思いながらヘラで掻き混ぜる。
然し。食べても普通に美味しい板チョコを使うよりも、やっぱり菓子作り用のチョコレートを使った方が良かったのかもしれないなんて思うのは、ちょっと弱気になっているからかも。
一つ溜息を吐くと、チョコを溶かす没頭する。別にそんな集中力を必要とする作業じゃないけれど、そうじゃないと意識に余裕が出来ちゃって、変なことばっかり考えちゃうから。
ああ、でも此本当に美味しそう………誘惑には勝てず、小指で溶けたチョコを攫うとそのまま口で受け止める。温かさと甘さが口いっぱいに広がる。思わず口元がにやける。やはり美味しいものは、悩みをあやふやにするのに最適だ。
口から指を離して、レシピで次の工程を確かめる。その時ふと思った。………このまま渡せたら味の保証は確実なのになぁ。目の先には溶けたチョコがボールの中で甘い匂いを漂わせていた。

テレビを見、レシピを見、溜息を吐く。
此で何度目だろう。時計を見るとあと少しで焼き上がりだ。
再びテレビに目を向けるが、全く頭に入らない。また目の前のレシピに目を落とす。工程を確認し先程ほど作った工程を思い出す。うん、間違えはないはず。そう思うが、自分のやったことに自信が持てない。もしかしたらどっかで、自分の忘れているところで間違えているかもしれない。そんなことはきっとある筈無いのに。そんなことで胸がドキドキする。此で失敗だったら今までの時間が無駄になるし、其れより何より再び作り直さなければならない。また、あんな変な緊張感の海に溺れるのは遠慮したい―――

大きく溜息を吐くと、自嘲する。今更工程について悩んだって、どうしようもない。出来あがらないとどうにもならない事だ。
明日を想って胸が再び苦しくなる。渡せるかな、受け取って貰えるかな、やっぱり市販の物の方が重くなかったかな―――
其れも、今更どうしようもないことだ。用意したのは渡せる市販の物ではないし、手作りでも食べられる物だからそんなに重くならないからって自分にも言い聞かせた。どうせ考えるなら、いつ渡すか、どうやって渡すかを考えた方が建設的だ。そう思い直した。その時、オーブンが電子音を響かせる。出来上がりの合図だ。
意識は再び焼いていたものに飛び、オーブンに向かう。美味しく出来てるようにと祈りながら、焼き上がったケーキをオーブンから出した。
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逝く年来る年
2006-01-01-Sun  CATEGORY: オリジナル
「はふー……」
コタツにはいると、思わず溜息を吐く彼女。
「帰ってきたら、先ずただいまじゃないのか?」
呆れた僕は、思わずそんなことを口にする。
「まぁまぁ、そんなに堅いこと言わないの。ほら、お土産の蜜柑だよー」
何を云う、それはコタツの上の蜜柑だ。お土産ってのはそういうものじゃないだろう。
「ふんふふーん♪」
鼻唄なんて歌いながら、蜜柑の皮を剥く。其れは僕へのお土産と云った蜜柑じゃなかったのか。自分で食べるつもりなのか、皮を剥いて渡してくれるつもりなのか。どちらにしても、余り期待しない方がダメージが小さいことは、既に学習済だ。
「ねぇねぇ。初詣、どうする?」
「ああ、外寒かったろ?今から行くにはちょっと遠いから、寝てからにしよう」
剥き終わった蜜柑を半分に割る。やっぱり自分で食べる気か。
「ぶー、テレビの明治神宮なんて、こんな時間なのに人いっぱいだよ?ちょっと行ってみたいと思わない?」
一房だけ摘むと、こっちに寄越す。
「あんなに人が多いところ、人酔いするよ。お前も苦手だろ?」
右手で受け取ろうとすると、蜜柑を持った腕を引っ込めた。
「そうだけどさー。でもお祭りみたいのはやっぱり楽しいじゃん。どっちも阿呆なら踊らなきゃ損だよ?」
僕が手を引っ込めると、また突き出す。いったい何なんだ。
「まぁ、そりゃそうだけどさ。でも僕は、なんかもっと大人しく出来る方が良いなぁ」
「あーん」
なんだ、いきなり。あーん?答えがあーん?なんだ?いったい何だ?そんな風に混乱していると、蜜柑を突き出して再び云う。
「あーん」
ちょっと強めだ。なるほど理解出来た。此はあれか、テレビなどでよく見るお約束ごとか。逡巡したのは僅か数瞬、蜜柑の方に首を伸ばす。
「ンッ………」
指ごと含むと、ゆっくり舐る。なんか物憂げな声が上がるが、聞こえない振りは当たり前。
「ン、ゥン…………もぅ!悪戯ばっかりっ!!」
唾液で濡れた指を引き抜くと、怒ったように声を上げる。いや、実際怒ってるんだろう。僕は少し考えて、自分の指を差し出す。
「………なんのつもり?」
「やられたら、やりかえせ?」
呆れたような顔をしながらも、僕の左薬指を口に含む。サラサラとしながらも僅かに粘つく唾液が、口腔内のザラザラと併せてゾクゾクする感覚が身体に来る。
「明日で良いだろ?初詣。どうせ明日だって人がいっぱいなんだし、屋台だってでてるよ」
目を瞑り僕の指を舐りながら、頷いた。
そのとき、テレビから明けましておめでとうの声と、除夜の鐘が鳴り響く。都会に住んでるからか、除夜の鐘なんて、テレビ以外から聞いた覚えがない。
「年が明けたね。明けましておめでとう、今年も宜しく」
相変わらず指を口に含んだまま、薄目を開ける蕩けた瞳で僕を見ながら、ただただ頷いた。
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クリスマス
2005-12-25-Sun  CATEGORY: オリジナル
ケーキを持って駅を降りる。別に予約していた訳じゃないから、並んで待った末に手に入れたケーキだ。何処にしようか悩んだ末に、人が集るところは美味しいだろうと結論付けて決めたのだが、わたしが食べたことのある訳じゃないので、あの人達の味覚が変わってないことを祈ろう。
然しだ。仕事が終わって帰るわたしに、ケーキの準備を任せるのはどうかと思う。ケーキの購入、それは戦場に他ならない。良い物・美味しい物は直ぐになくなり、タイミングを逃した人は、適当な物で過ごす羽目になる。特に、わたしのような甘いのが不得意な人間には、生死に関わる問題だ。そうとは云え、美味しい物なら食べられるので、我が儘なだけかもしれないけれど。
わたしが仕事で都心に出るからって、良い物買ってこいとはあの人も横暴だ。仕事の終わりは夕方だし、良い物は早くなくなる。全く、出不精だからって、そんなに美味しいケーキを食べたければ自分で買ってくれば確実なのに。自分は仕事休みなんだから、それくらい働け。
まぁ。其処まで思って、思わず顔が緩む。
きっと、あのひとは。ツリーを飾り付けて、部屋を出来うる限り飾り付けているはずだ。どうせ踊るなら、バカみたいになって典型的なクリスマスをおくろうと云う人だから。
「愉しんだ者勝ちよね……」
思わず独りごとが口から出てしまう。口元までにやけているのも判る。きっと、あの人は昼間っから満面の笑みを浮かべながら、準備していたはずだ。
………ちょっと待って。いったい他の料理の準備はされているのだろうか。オードブルとかその他諸々。ローストチキンなんて美味しいなぁ。じゃなくて。どっか抜けている人だから忘れている可能性はなきにしもあらず。わたしの経験からいくと50%は確実に超えている。
念のために買っていくことも今からは無理だ。目の前にあるのは家のドアなのだから。此処から引き返す程の元気もない。何より、やっぱり顔が見たい。鍵を回してドアを開ける。
「ただいまー」
そして開口一番、中にいるあのひとに、声をかけた。
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2005-12-20-Tue  CATEGORY: オリジナル
なんでこんな寒い中外に出たかというと、手に持っている暖かいものを買うためだ。
「やっぱり寒い日は肉まんだよねー」
こっちの気を知ってか知らずか、はふはふ云いながら、彼女が其れを食していた。
まぁ、確かに寒い日に食べる肉まんは美味しいさ。其れを否定するつもりはない。
だけど、わざわざ温い部屋を出て迄買いに行くものだったのだろうか。暖まりたいだけだったら、家でココアでも入れればいいのに。あれ、ココアって買い置きあったっけ?温めた牛乳で入れると美味しいんだよね、まろやかで。牛乳は……いや、其れ以前になんでコンビニまで出て買いに行くことになったんだ?
「ねぇ、そんなむつかしい顔して……食べたくなかった?冷めちゃうよ、肉まん」
いつの間にか食べ終わったのか、物欲しそうな、寂しそうな顔をして彼女がこっちを見ている。
「そんな顔したってあげないよ」
見えた感情の一つを、敢えて無視してから、肉まんに食いつく。表面は冷めちゃったけど、中は流石にまだ暖かい。そんなに時間もたってないんだから、此で冷えてたらクレームもんだな。
そんなことを思いつつ、ふと別のことを思う。ちょっと待て、そんなに時間たってないのに、なんで此奴は一個を平らげてるんだ……?
隣の様子を見ると、ああなんてコトだ。そんな物欲しそうな目でこっちを見るな。お前は捨てられた子犬か。僕は猫の方が好きだが。
自分の手元を見ると、4分の1ほど残った肉まんがあった。其れを彼女の方に突き出す。
「良いの…?」
「食べたいんでしょ、良いよ」
申し訳なさそうな顔は一瞬か。許可が出たかと思うと、僕の手からそのまま食べていく。勿論一口だ。
苦笑いを浮かべて空を見上げる。冬の空は澄んでいて夜でも綺麗だ。こんな都会でも、幾つか星を見ることが出来る。田舎だったら……。
「あ、見て!満月だ!」

隣で空に向けられた指の先には、ちらつく星々に混じって、間違いなく真円を描いた月が在った。

こう見ると、昔の人が月の魔力を信じた理由もわかるような気がした。何より、丸ってのがインパクト大だ。星のような点じゃなく、丸。そりゃ存在感だってあるに決まってる。
「なぁ、もし俺が狼男で今から変身したら、どうする?」
月に纏わる話を思い出したので、問いかける。
「そうねー。だったら、もうとっくに食い殺されてるよね」
こっちの予期していない、けれども彼女らしい応えが返ってきた。
違いない。話で伝わる狼男は自らの理性でコントロール出来るような存在としてはえがかれていないのだから。
「ねえ早く開けてよ、寒いんだから。あとでココア入れてくれる?」
理不尽なことを云う。確か外に出たいと云いだしたのは彼女ではなかったか。僕が云った覚えがないから、そう思っているだけなのだけども。
で、結局暖まったのは一瞬で、家に帰ってからまた暖める必要が出て来たと。
買い置きのココアがあることが判った。今は其れが判って、ちょっと我が儘な彼女が一緒にいれば、其れで充分だろう。
僕は、ポケットの中の鍵を確かめ取り出すと、扉の鍵を開けた。
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